光と影の迷宮 ‐ 1933 老場坊 その2 [老上海]
1933老場坊は円形(正確には24角形)の建物を中心に東西南北を長方形の建物が
囲むように建てられています。
そして円形の建物と四方を囲む長方形の建物を結ぶ渡り廊下が蜘蛛の巣のように
張り巡らされ、また所々に狭い階段が設置されています。
その様子はまさに迷路。
そして建物の隙間から差し込む陽の光に照らされて、不思議な遠近感・立体感を
醸し出しています。
剥き出しのコンクリートには装飾のようなものはほとんどなく無機質。
それは屠殺場としての合理性と生産効率を優先した結果なのかもしれません。
ここは円形の建物と四方を囲う長方形の建物との中間、言わば中庭に相当する場所の
二階部分で、幅の広い廊下は家畜の通路。
奥の方にはスロープがあり、家畜はさらに上の階へと搬送されたようです。
円形の建物とをつなぐ渡り廊下の一つ。
複雑で非対称的な構造の中にも所々シンメトリックな配置を見ることができます。
改装が途中で頓挫した空間。
当時何に使われていたのだらうか?
窓から差し込む光は天井まで届かず、ひんやりと冷たい( ̄∇ ̄;)
開かずの扉。
スロープを登ってきた家畜はそれぞれ目的に合った処分を行うために専用の部屋に
入れられ解体されたという。
この扉がその部屋の入口だったかどうかは知らないが、鍵の掛かった扉の向こうで
何か蠢く気配がして急に怖くなった。(うう〜、考えすぎだってば!)
まだ続く
光と影の迷宮 ‐ 1933 老場坊 [老上海]
“1933老場坊” は虹口区(Hong Kou Qu)の沙涇路(Sha Jing Lu)にある優秀歴史建築の一つ。
そのルーツは1933年に建てられた世界で3本の指に数えられる規模を誇った屠殺場。
1970年代から生物化学・薬品工場となり2002年に操業を停止。
その後一時閉鎖されていたが、2008年にファッション&クリエイティブ・エリア
としてリノベーションされて現在に到るとのこと。
「おもしろいから行ってみなよ」と薦めてくれたのは写真家の海原さん。
ただし一方で「あそこはヤバイかもね」と意味深な発言。( ̄_ ̄;) 是什么意思啊?
聞けば知る人ぞ知る、あんな噂やこんな噂がまことしやかに出回っているとかで、
要するに動物たちの“怨念”みたいなものが充満しているのではないか?と。
ってことは……もしかしてコワ〜イ写真が撮れちゃうのかも!?とビビりまくる
ひろネコでありました。
続く
南翔老街・雲翔寺 [老上海]
不好意思!
3月19日付の『南翔小籠包』で「以前ひろネコの館で紹介しました」と書きましたが、
あれは私の手違い間違い勘違い。
管理のページの「下書き記事」にすっかり埋もれ、差一点(もう少し)のところで
忘れ去られるところでした。 m(_ _;)m 真対不起!
執筆したのは昨年12月の「冬至」の日です。
春分過ぎてから冬至のネタというのもアレですが、このままボツにしたら後悔しそう
なのでここで一部加筆して公開することにします。
さて、前置きはこれくらいにして……
昔々、上海市郊外の南翔老街に“雲翔寺”(Yun Xiang Si)という佛寺(仏教寺院)
ありけり。建立は南北朝の時代(公元505年)というから1500年以上の歴史がある
由緒正しいお寺で、本来の名は“白鶴南翔寺”(Bai He Nan Xiang Si)と呼ばれて
いたそうな。
現在の“雲翔寺”は2004年に再建されたもので、別名“留雲禅寺”とも呼ばれている。
古くは“南翔寺”とも呼ばれていたことから“南翔鎮”の名の由来にもなったとか。
は~て、どんな所かな?と隙間から覗くと、参拝に来ている人の姿がありました。
南翔老街は地下鉄11号線に乗って南翔(Nan Xiang)駅で下車。商店街から一歩
外れると、まるで古き良き時代にタイム・スリップしたかのような老上海。
はたしてどんな老街なのか? 小籠包で有名らしいので、それも楽しみです。
雲翔寺には随分と大勢の人が拝神(Bai Shen)=参拝に来ています。
はて、今日は何の日?と思ったら、冬至です。
聞くところによると、冬至は御先祖様の供養の日とか。
なるほど、それで長い線香を上げてお参りしているわけですね。
それから地面に跪いて祈祷をはじめました。
ところが意外なことに、それは歌のように優美な旋律を持ち、まるでグレゴリオ聖歌
のようにレスタティーヴォ(叙唱)とアリア(独唱)、そしてコラール(合唱)の
ような構成になっています。
その歌のようなお経を辿って行くと本殿である大雄賓殿が現れました。
いかにも中国らしい金ピカの本堂では複数の僧侶とたくさんの参拝者が祈りを捧げて
いました。
グレゴリオ聖歌のようなお経が終わると僧侶たちは大雄賓殿から出て観音殿に集結。
ここでも僧侶たちは歌うようにお経を読み上げ、それが終わると、いよいよ先祖供養
の儀がはじまります。
跪く者もいれば平伏す者もいる。
日本で先祖供養と言えば春分と秋分を中日とした“お彼岸”ですが、中国では何故
冬至に先祖供養が行われるのでしょうか?
ん~、よくわからん。
そこでいろいろ調べてみると、上海地区には「拝新時節」と呼ばれる先祖祭祀の
行事があり、それは亡くなった人が迎える最初の「四時六節」=春夏秋冬の四季
(四時)と清明節、夏至、中元節、朔日、“冬至”、夜の六つの祭日(六節)に
行われるという。
う~む、これはなかなかディ~プな話であります。
燃やしている紙袋には「先祖○○」や「先夫××」、そして「冤亲債主」「冥府収用」
「奉銀壱袋」などと書かれ、それらの中には紙幣に似せた紙がたくさん詰め込まれて
います。これは亡くなった人が“あの世”に行っても衣食住が満ち足りるように紙幣に
似せた紙、すなわち“紙銭”を燃やして手向けるのだそうです。
最近は“あの世”にも超市(スーパーマーケット)や便利店(コンビニ)ができたので
しょうか?現物支給しなくても“紙銭”があれば現地調達できるようになったのかも
しれません。
今は便利な時代なので、そのうち“紙銭”に替わって“信用卡”(カード)になるかも?
“冥府”(あの世)に“奉銀”(献金)を“収用”すれば、“あの世”でも不自由はしない!
やはり“あの世”に行ってもお金の力がモノを言うのでしょうか?
この国の“拝金主義”はどうやら“この世”だけでは済まないようです。
あいや~、真没想到!
今日はひろネコの館はじまって以来のディープな展開になってしまいました。
南翔・雲翔寺。
機会があれば、是非!
南翔小籠包 [老上海]
どこの店かは内緒ですが、今日のお昼に食べた小籠包はどういうわけかとっても
不味く、ひろネコにとって歴代ワースト1に該当する味でした(泣)
そこで思い出したのが、南翔老街(Nan Xiang Lao Jie)の“元祖・小籠包”の味。
ひろネコの知るかぎり、ここの小籠包は上海一、いや中国一の“美味”であります。
以前ひろネコの館で紹介しましたが、地下鉄11号線南翔駅から歩いて行けるこの街。
人民公園から近い豫園の中にある南翔饅頭店の小籠包も確かに美味しいのですが、
南翔老街の小籠包の味はそんじょそこらの小籠包とは一線を画した美味しさ。
中でも香ばしい蟹の肉汁が口の中で広がる“蟹粉小籠”は格別 \(⌒◇⌒)/わ~い
南翔小籠を一籠と蟹粉小籠を一籠、そして馄饨(ワンタン)を二碗(どんぶり二杯)
を男二人でペロリと平らげ、「余は満足じゃ!」と御機嫌でした。
あ~、食べたくなってきた!
今度の週末は南翔老街へ走吧!
おばぁちゃんの味 [老上海]
新年早々ネタがないので、昨年からマイブームの朱家角(Zhu Jia Jiao)古鎮ネタ
ですが、ここには中国料理の中でもひろネコ好みな美味しい物がたくさんあります。
v(=∩_∩=)ムフフ
① 小笼包(Xiao Long Bao) = 小籠包(ショウロンポウ)
② 馄饨(Hun Tun) = ワンタン
③ 饺子(Jiao Zi) = ギョウザ
④ 粽子(Zong Zi) = チマキ
⑤ 东坡肉(Dong Po Rou) = 豚肉の甘醤油煮込み
⑥ 面(Mian)、面条(Mian Tiao) = 麺
などなど、数え上げたら切りがないくらい。
その中の代表として“阿婆粽子”(A Po Zong Zi)=「おばぁちゃんのチマキ」を
紹介します。(いつから食べログに?)
朱家角古鎮のメインストリート・北大街(Bei Da Jie)にある『银杏树阿婆粽子』
という店。日本語だと『銀杏の木ばぁちゃんのチマキ』ですかね。
どうやらCCTV(中国中央電視台=中国中央テレビ局)が取材にきたくらいの
圧倒的人気!
店の前は順番待ちの人たちでワイワイガヤガヤ……
とんでもないことになってました。
トップの写真はその店の“看板娘”、うにゃ、“看板おばぁちゃん”。
店先でお客さんとおしゃべりしながら包粽子(チマキを作る)してます。
笹の葉っぱで糯米(もち米)と猪肉(豚肉)を上手に包み、最後に藺草で縛ります。
歯で押さえておきながら「ヨヨヨ~ッ!」と……
あいや~! ばぁちゃんの歯、丈夫だねぇ。
午前11時。
昼にはまだ早いし、行列に並ぶのもアレなので、ここは一先ずスルーしようと思い
ましたが、我が腹時計はすでに12時を回っている様子。
胃液が沸々と湧き、唾液が喉元から溢れはじめています。
「あ~も~我慢できねぇ!」というわけで、連れのN氏と乱れ狂う行列に並んで
買いました。(確か一個4元≒68円だった……と思うが忘れました)
それから人混みでごった返したを離れ、放生橋(fang Sheng Qiao)の船着き場で
いや~、おいしいなぁ +。:.゚ヽ(*´∀`)ノ゚.:。+゚ ウキャッキャッ!
「吃了、忘不了!」