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ながい、ながい、リヤカーのはなし [当代上海]

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注)
紙面の都合により敢えて90°左へ回転させてあるため、良い子の皆さんはご使用のディスプレーを
右へ90°倒して見ていただくか、「別のウィンドウで開く」あるいは
「名前をつけて画像を保存」してから
90°右へ回転させるなどして閲覧してください。

奇天烈な建築物、奇抜なファッション、奇矯な振る舞い、奇想天外な計画……

日本人からすると、この国には「奇」のつく物事が多すぎるように思いますが、
この国の人民たちにとっては「没有什么奇怪的事」(別に可怪しくも何ともない事)
あることが多々あります。

その一例とでも申しましょうか、↑ の写真はこの秋、地下鉄10号線虹橋路駅近くの
淮海西路で撮影したもの。
いわゆる積載オーバーと申しましょうか、原型は一台のリヤカーなのでしょうが、
それをどうやって改造したものか、自動車工場から新車を積んで運ぶキャリアカーの
ような、ながい、ながい、リヤカーなのであります。

麦わら帽子をかぶった、遠目からでは男とも女とも判別のつかない小柄な男が
夥しい数の籐椅子を載せたリヤカーをゆっくり、ゆっくり、黙々と引いてゆく……

その時、思い出したのが学生時代にハマった作家・金井美恵子の書いたエッセイの
タイトル「ながい、ながい、ふんどしのはなし」(筑摩書房)でした。

眠りにつく前に「ながい、ながい、◯◯◯のはなし」という物語を聞かされる子供は
それがどれほど長いのか?それが一体どうなっているのか?を知りたくて知りたくて
ワクワクするせいで却って眠れなくなってしまうのですが、そういう子供の好奇心を
くすぐる物語というのはたとえオチがわかっていたとしても何度でも何度でも
しつこいくらい繰り返し聞きたくなるものです。

ちょっとオサレな淮海西路に突如現れた「ながい、ながい、リヤカー」に我を忘れ、
口をポカンと開けたままカメラ片手にその後を追う私は、その昔、冬の晩になると
「チリン チリン」と鈴を鳴らしながらどこからともなくやってくる焼き芋屋さんを
追いかけたころの精神年齢と大して変わらないのかもしれません。

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ながい、ながい、リヤカーは数えきれないほどの籐椅子を載せたまま、ゆっくりと
音もなく虹橋路との交差点を右へ曲がり、やがて見えなくなってしまいました。

 


タグ:LEICA X2
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コメント 4

maki

こんなに長いのに、車輪は2つなんですねー
凄まじい光景∑(゚Д゚)
by maki (2014-12-12 12:30) 

かいはら

上海の夏の風物詩なんです、これ。
何度も見た事があるのですが、売れた場面に一度も
遭遇してない。
by かいはら (2014-12-12 13:29) 

hironeko

makiさん
そうなんです。
これを一人で引っ張るだけでも大変なのではないかと。
こういう逞しさって、豊になった今の日本人に残ってるのかなぁ……なんて思いました。

by hironeko (2014-12-13 00:15) 

hironeko

かいはらさん
いやぁ、私は初めて見ましたよぉ。
しかもこれって売り歩いているんですか?
一つ買えばよかったかも……南通まで持って帰れないけど( ̄_ ̄;)



by hironeko (2014-12-13 00:19) 

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