魅惑のマクロスイター [自言自語]
昨日紹介したMacro-Switar (マクロスイター)という名のレンズ。
本来はこのAPLA REFLEX (アルパ・レフレックス)専用の標準レンズです。
手持ちのレンズ(XF系やElmar)のテストも兼ねて撮影してみました。
ALPA (アルパ)というカメラはちょっと「変」であります。
スイスの時計部品メーカー・ピニオン社が製造した一眼レフカメラで、ひろネコが
所有するALPA は正式には“Alpa Reflex 6b”という名称。
製造は1959年~1972年、製造台数は2098台。
この写真ではわかりませんが、クイックリターン・ミラーを採用した一眼レフで、
45°に傾斜したプリズム・ファインダーと距離連動機能を持たない50mm専用の
素通しファインダー、ボディー正面に設けられたシャッターボタン、そして逆巻き
の巻き上げレバ―が特徴。
ファインダーが45°に傾斜しているのはレンズを下向きにセットして接写すること
が前提で作られたカメラだから(と勝手に推測してますが真偽のほどは知りません)
スイスのKern Arau社製のKern-Macro-Switar 50mm F1.8 AR は5群7枚の
アポクロマート仕様で、最短撮影距離0.285m(1/3倍)のマクロレンズ。
製造は1958年~1969年で製造数はシルバーが9,173本でブラックが1,146本。
世の中にはこのレンズで写真が撮りたくてこのカメラを買う人もいるくらい。
何故ならライカ並みに短いフランジバックのおかげでNikonやCanonの一眼レフ
カメラにマウントすることは不可逆的改造をしない限り絶望的だから。
Leica M Monochrom + VisoflexⅢ+ Elmar 3.5/65 で撮影
逆に言うとマウントアダプタがあれば世の中の一眼レフ用レンズはAlpa Reflexに
マウントできるのです。
ただしこのカメラ独特の操作性から考えると現代の一眼レフカメラを使い慣れた人
にはとても使い難いので、良い子の皆さんにはお勧めできません。
その理由は
特に45°傾斜のプリズム・ファインダー。
横構図で撮影する時はウェストレヴェル・ファインダーに近い感覚で使えるので
違和感は少ないですが、縦構図で撮影する時の使い難さときた日にゃあ天下一品!
実際に使ってみるとわかりますが、「斜」に構える感じになるので構図決めや水平
出しに苦労します。
先ほど挙げた距離計と連動しない素通しファインダーですが、実は縦構図の時に
役立ちます。ただし画角は50mm専用なので標準レンズ以外では使えません(笑)
他にシャッター・ボタンの位置や巻き上げレバーの回転方向も慣れるには時間を
要します。
ところが、このカメラ独特の操作感に慣れてくると却って手に馴染んでくるから
不思議です。特に接写する時……45°傾斜のプリズム・ファインダーを採用した理由
が理解できます。
Leica M Monochrom + VisoflexⅢ + Elmar 3.5/65 で撮影
なったのはX-Pro1のようなフランジバックの短いカメラが出たおかげ。
マウントアダプタを介せば、ホラ、このとおり。
X-Pro1の場合はミラーショックとは無縁だし、EVFでのピント合わせが容易なので
便利。写りは昨日のとおり。
繊細な描写や色再現という点でも相性が良いと思うのでX-T1でも使ってみたいです。
Leica M Monochrom + VisoflexⅢ + Elmar 3.5/65 で撮影
X-Pro1 に付けたMacro-Switar 1.8/50 AR 。
Leica M Monochrom とElmar 65mm F3.5 の描写がいい感じです。
XF系レンズの描写もすばらしいですが、古いレンズも独特の“味”があります。
同じ「黒」でもレンズとフードの塗装とカメラボディーの塗装とマウントアダプタ
の黒アルマイトの質感の違いや「銀」の塗装とメッキの質感の違いも出ていると
思います。
Macro-SwitarとElmarに共通している「やわらかさ」は現代のレンズでは失われた
描写。
チャートの撮影では劣るかもしれませんが写真として見た時にどちらを選択するか?
それは皆さんのお好み次第。 私は好きです。
X-Pro1 + Macro-Switar 1.8/50 AR のf1.8で撮影
X-Pro1 + Macro-Switar 1.8/50 AR のf8で撮影
Macro-Switar の絞り値による描写の違い(上が開放f1.8で下がf8 )。
開放でのとろけるような前ボケと後ボケ、そして絞った時のやわらかく繊細な描写。
どちらもイイ感じです。
XF60mm F2.4Rとの違いは別の機会に試してみます。
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