静寂 [当代上海]
夢を見ていたわけではないはずなのに不意に目が醒めた。
不気味なほど静かだった。
右手にはめた腕時計を見ると深夜3時を過ぎていた。
いつもなら24時間途絶えることのないロード・ノイズが今夜は嘘のように静かだ。
ベッドから抜け出し、21階の窓から高速公路を見降ろす。
そこにはクルマの影が一つもなく、
ただ雨上がりの濡れた路面がナトリウム灯の光で煌々と照らされていた。
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こんな夜には武満徹のアルト・フルートとハープのための『海へⅢ』が似合う。
第1曲『夜』、第2曲『白鯨』、第3曲『鱈岬』
演奏はオーレル・ニコレのアルト・フルートと吉野直子のハープで。
静かに響く笛の音に耳を澄ませば、そこには月に照らされた大海原が見えてきそうです。
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